坂内書店から原信を経てTPPを思う

若松三中の近くに「坂内書店」という本屋さんがあって。
会津若松市内だと、私は主に「ブックスなにわや」またはリオンドールとドトールが完備のツタヤ(←超便利)に行っちゃって、ここには入ったことがなかったのですが、外観がすごーく私的ノスタルジーを感じさせて、三中に行くたび「一度は寄ってみたい」と思いながらも通り過ぎていたのでした。

そしたら最近、1年前に閉店していたことを今更知って。
確かにいつ通りかかっても店内暗いし、人見かけないしで、流行ってないのかな~とは思ってはいたのですが

「外観がノスタルジー」と書きましたが、この坂内書店、昔よく通った新潟・古町の本屋さんをすごーく彷彿とさせたんですよね~
すなわち北光社と萬松堂。どちらも2階建てで、いや萬松堂は3階建てだったな確か。
実家がある新発田市も、当時は意外なほど本屋さんがいっぱいあった町なのですが、それらはたいてい店内真ん中に雑誌棚、周りを取り囲むように文庫やハードカバーが、いずれも一目で見渡せそうな狭い空間にあって。1人が立ち読みしてたら通路がせき止っちゃうような、そんなこじんまり感。
それが古町行くと、入り口こそこじんまりしているものの、中へ入ると意外な広さ、加えて2階or3階建て!1階以外も本がギッシリなんて、新発田から来た目にはまるで夢のようでした
今からすれば、そうは言っても商店街の一角につき、今主流の郊外型とは段違いの狭い空間で、いかに大きな商売するための苦肉の策だったとも言えるわけですが、当時はこれぞ「資本力の差」「都会と田舎の差」に映ったもんでした。
(余談ですが、神明通りのスーパー・リオンドールも、今では数少ない2階建てで、これまたその昔、新発田駅前に会ったジャスコを思い出してノスタルジーです。「昔は「巨大スーパー」として崇められてたんだろうなあ」という記憶の片鱗が、2階の侘しさにうっすら残ってる感じがして)

残念ながら北光社は、坂内書店よりもお先に閉店してしまったのですが、残念がる人々多数でローカルニュースにもなった記憶があります。何しろ古町十字路の入り口で、本好きはもちろん、待ち合わせにショッピングの合間に帰りがけにと、かつて古町が賑わっていた歴史とともにあった本屋さんでしたもんね~

なんでこんな思い出がよみがえったかというと、ふと耳にしたニュース「減反政策廃止」。
これを聞いた瞬間、広々とした土地に巨大なamazon倉庫、その下に「一人勝ち」みたいな字幕が入った絵が思い浮かんでしまったからなのでした

と言っても減反廃止そのものを「反対!」とか言いたいわけじゃありません そもそも農家や農業自体まったく知らないレベルだし、そんなレベルの私ですら、米農家に「米を作らないなら金を出すよ」って命令する減反政策って、元々にかな~り無理があるな~という印象で。

ただね~~。かと言って、でかく資本力あるところは、その資本力を武器にどこまでもでかくあれ、その陰で破れていく坂内書店や北光社は、もうしょうがないんだからそのまま消えていきなさい、みたいなのは、資本主義の常とは言え、それでいいのか?と。もう資本主義行き詰ってんのに、まだそんな資本主義真っ盛りみたいなイケイケやってて、この先どうなるのか??みたいな、具体的にはわからない素人ならではの漠然とした不安も、うっすら浮かび上がるんですよね~。

折りしもこないだ新発田に帰省したら、巨大ジャスコ周辺がちょっと様変わりしていて。
数年前、西新発田駅前に満を持して完成した巨大ジャスコ。ほんとに巨大で、それまでファストフードはマック1軒みたいな町・村上市に住んでた目には「都会の香りがする~♪」(←と言って新発田在住の友達に笑われた)と感激するくらいのジャスコでしたが、ここはそもそも土地が巨大だったんですよね。確か当初は、巨大ジャスコを中心に、色んな種類のお店を誘致して一大ショッピングタウンに、いやいや各種個人医院や薬局を集めて、メディカルタウンに等々、いずれにせよ「新しい街づくり」という計画があったはず。
ところが思ったよりお店や医院が集まらず、ま若干は集まったのですが、当初の計画よりスケールダウンな印象は否めず。夜なんかけっこう暗くて、地元小中学校には「夜はちょっと注意」みたいな警告も。

それが最近、帰省ついでにジャスコに行ってみたら、そこから車で1分のところに、なんと巨大原信が
原信ってご存知でしょうか。新潟でここ数年、あちこちに巨大店を展開しているスーパーで、ジャスコがトップバリュならこちらはCGCです。会津でおなじみリオンドールや、新潟でおなじみウオロクも同じCGC系列。
これが、まさにジャスコのトップバリュに対抗するように、どーんと建ってたのですね~!ユニクロやサンキを敷地に従えつつ。
(ユニクロも、それまでは新発田初の郊外型ショッピングタウン・コモタウン付近にあったのですが、このたびついにこちらに移転。またひとつ寂れていくのかしらコモタウン;;)

新発田ばーちゃん談では、原信オープン告知のチラシでは「今まで同系列ということで、ウオロクのあるところにはなるべく出店しないようにしていたのですが、このたびついにオープン!」みたいな説明が載っていたそうです。上記のコモタウンは、まさに「ウオロク」がメインのショッピングタウンですからね~。さらにジャスコ&原信から車で5分くらいのところには、ウオロク住吉町店があるし。
ちなみにこのウオロク住吉店は、ばーちゃん御用達です。うちからだと、ジャスコへ行くのと時間はほぼ変わらないんですが、何しろジャスコは巨大すぎて、キャベツやお魚買う程度なら、ウオロクの方が断然早く、疲れず買い物できちゃうんですよね。特に年寄りが多い住宅地には、これがわりと重要なポイントで。

しかしこうして、同系列すら食い潰しつつ、巨大店と巨大店が食い潰しあうという構図を、資本主義の常ではありながらもあからさまに見ると、やっぱりうーーーんと思ってしまうのです素人は。これがお米で、世界的規模でそうなるわけか~、果たして日本のお米の立場は原信なのかジャスコなのか、それとも住吉町のウオロクか? どっちが勝つのか、というかこの先どうなるのか。こうして巨大なもの同士が競い合い、潰しあって、やがては「ワンワールド」みたいな陰謀論的世界に落ち着くのか?とか。

まあ実際はそういう、当初「減反廃止」のニュースを聞いて思い浮かんだように、でかいところが資本の力づくで一人勝ちする、ってわけではなく、案外住吉町ウオロクのように「その小ささこそが思わぬメリット」という感じで、多種多様な世界になっていくのかもしれませんけど。
これについてはもう1コ、思い浮かぶお店があります。
飯館村にあった「ほんの森いいたて」。行ったことはなく、「3.11あの日を忘れない」というマンガシリーズを読んで知った本屋さんなのですが。

飯館村には平成7年まで本屋さんというものが1軒もなく、待ちに待ったという感じで生まれた村初の、そして全国初の「村営書店」(!)だったのだそうです。もちろん規模はちっちゃいのですが、その規模の小ささ及び「村による、村のための」本屋さんだからこそできたという面も、マンガを読むといっぱいあったようで。
例えば酪農関係や天体観測等、意外な本の豊富さ。飯館村はそれまでもわりと自主独立路線というか、村ならではの産業に誇りを持っていて、「飯舘牛」など、野菜や畜産など独自ブランドも多々立ち上げていたそうです。またそういう自然豊かな環境ゆえの澄んだ空は、天体マニアには「知る人ぞ知る有名な場所」だったらしく。
「酪農ジャーナル」や天体系など、全国展開の本屋さんでは取り寄せないとないけれど、村の生活に根付いた「ほんの森」では確実にあるという独自の品揃え。と同時に、村の生活に根付いている=顔見知りが多く規模が小さい本屋さんゆえにできる、きめ細かいサービス。例えば、普通の本屋さんだと「タイトルがわからないとお取り寄せはちょっと・・・」で終わってしまうところ、ここではおばあちゃんの記憶のカケラから、店員さんが一緒に1時間近く検索して、お目当ての本を探し当てたり、客が毎号買う本は言わずとも取り寄せておいてくれたりe.t.c... これらはもちろん、店員さんの営業努力の賜物なのですが、こうしたきめ細かさにより、村では大人気の本屋さんだったそうです。
(しかし個人的には、例えば店員さんと顔を合わせた途端に「今月号のエロトピア、取り寄せておきましたよ」とかニッコリされたら、感謝と衝撃で二度と行けなくなっちゃいそうでもありますが 常連≒地域密着型コミュニティの良し悪しではありますね。念のためですが私はエロトピアとか絶対読んでませんええほんと)。

「ほんの森」、現在は原発事故により一時休業中ですが、こんな本屋さんがあったんだ~と、マンガを読んでしみじみ感動、というかほとんど敬意を覚えてしまいました。

というわけで、「なるほど小さいお店には小さいお店ならではのメリットがあるんだな」というのが、このほんの森やウオロクなどからも伺えるのですが、しかしそれにはやっぱり、親元の飯館村やCGCがしっかり機能してるから生き残れるみたいな面もきっとあるはず。これでCGCが、ジャスコと戦った末に手痛い傷を受けたら、住吉町ウオロクも「立地や条件は従来どおりいいんだけど、肝心の中身が品薄に」みたいなことになって、あえなく閉店とか、そういうこともあるかもしれませんよね、素人なのでよくわかんないけど ここら辺は村上龍の「愛と幻想のファシズム」で描かれていた、「アメリカの超巨大資本に支配されても、日本が自主独立路線を突き進んでも、どっちにしろ弱者には地獄だよ」という構図とダブる印象です。もっとも「愛と~」の世界では、アメリカ資本に支配された方がまだマシとしか思えませんでしたが

コモタウンも、出来た当初は新発田のシャッター街化に拍車をかけた存在ではありましたが、時間がたつうちに当初のにぎわいと、来る人の「ワクワク感」はなくなり、やがてジャスコによってさらに寂びれ。しかしそのジャスコすら、原信の攻勢で今後はどうなるのか。
食い潰しあってるように見える巨大店ですが、しかし一方、そのおかげで明らかに新発田は、昭和の頃より町全体が大きくなってはいるんですよね。中心街のアーケードは相変わらず、開いてるお店の方が少ないくらいのシャッター通りなのですが、コモタウンも当初より寂れたとはいえ、ウオロク電気屋さんその他確実に根付いているし、何より宅地が広がったし。ジャスコも、昔は田んぼの真ん中を犬連れて散歩したもんですが、今はぜーんぶ住宅街になってるし。

減反政策廃止は、TPPによる「いよいよ日本の米が海外との戦いに入っていくぞ」の第一弾であるわけですが、私の脳内に広がる「海外の農場」って、ほんっと広くて、国土の小さい日本じゃ、どんなに大規模経営にしても土台がもはや違うレベルでしょうよとしか思えないので、ついつい悲観的なイメージに走りがちなのですが、これも考え方で、規模が小さいからってそんなに悲観することはないのかしら?
まあ元の知識がない素人があれこれ考えても時間の無駄なんですが、北光社やウオロクみたいな、小さな田んぼによる小さな生活の歴史が消えるのは、後世から見たら大いなる生活苦の前触れなのか、それとも単なる感傷なのか。外来巨大モールの抗争というTPPにより新発田全体が発展したのを教訓にすべきかしないべきか。自分に確実に関わる問題ながらもどっか他人事のように(知識がないので他人事のようになってしまう)考えていると、改めて、歴史の渦中にいながらにして未来を判断しなければならない当事者の困難さを思ってしまうのでした。いやほんと、八重の桜とか見るにつけ、歴史がどっちに転ぶかなんてわかんないな~と
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コメント

イオニスト

なんかこれ、関係ある?
http://togetter.com/li/586099

三浦展「ファスト風土化」の偏見に支配されているけれど上のまとめの中の「文明であっても文化ではない」に集約されているのかなあ・・・

Re: イオニスト

こんなtogetterがあったんだね!ぱぱっと読んだけど面白い(>▽<)
けど「元から田舎なところにイオンモールができただけ。商店街なんか元々衰退していたし、そこには文化なんてなかった」っていうツイがいくつか出てくるけど、それはその町によるなあと。例えば私の実家町なんてのはもろそうだけど(^^;)、新潟市の古町とかはそうとも言えないと思う。元々衰退していたところに、郊外のモールができたのはその通りだけど、少なくとも古町には文化があったよ。昔ながらの都市ならではの。それが衰退しかけていたところに、姥が山や亀田っていう郊外に巨大モールができて、息の根を完璧に止められたというか、敗者復活戦の機会が奪われたというか、そんな体感がある。まあその前に万代っていう町に致命傷を受けていたんだけど、その万代も衰退して。。。私さあ、長々新潟について語っちゃってごめんだけど、古町が衰退するのがほんとに残念なんだわ;;古町って、会津で言えば七日町みたいな神明通りみたいな町なんだけど(いやちょっと違うかな?)、「新潟の賑わってた歴史」が丸ごと消えちゃうみたいでさ。新潟のジャスコがいくら賑わったって、あれ新潟の町じゃないもん。でも今やっぱ、駐車場ない町は行きにくいというのも客として正直な気分でね~(田舎で郊外モールが成功して、地方都市が衰退していく理由はまず第一に駐車場だもんね)。

あとさ、地方都市の中心部空洞化はもうしょうがないのかもしれないけど、今は次の段階、モール同士の抗争になってるよね。新潟の亀田とかかなりそんな感じだったけど、ついに実家みたいな田舎町まで!と思ってびっくりしたんよね~。なんかさ~、こういうふうに食い合ってるのが目の前で展開されると、正直引くっていうか、ほんとにこれからどうなんの?って思っちゃって。それともこれは「食い合ってる」んじゃなくて「共存してる」のかなあ??

togetter、コメントも含めてこれからじっくり読んでみるよ♪ありがとね~

ていうか「イオニスト」なんて言葉があったの?(>▽<) じゃあ私はヨーキスト、いやベニマリストか?リオニストでもあるな(>▽<)

No title

エロトピアに反応してしまった(見たことないですよホントに)。
昔は郡山駅前にも佐藤書店と東北書店という二大書店がありまして駅前って立地条件から中々行く機会がなくたまに足を運ぶと何とも言えないワクワク感がありました。今はうすいにジュンク堂があり郊外にも大型書店はありますがあの東北書店の階を登るとマニアックな本が並んでいる様を懐かしく思い出します。(エロトピアじゃないですよ)
特に車で移動するとなるとどうしても郊外のショッピングセンターがやっぱり便利で一日暇をつぶすなんてことは出来ませんが駅前がますます閑散としていくのも致し方ないかなと思います。
利便性を考えると一庶民は郊外に流れていく一方なわけで駅前は商業よりレジャーで盛り上げていくしかないんですかね。

Re: No title

2回も否定するところが怪しいなああ~(^^)>エロトピア
それはさておき、ああ郡山にもそういう「地元の人には忘れられない本屋さん」があったんですね~♪
そうそう、「ワクワク感」ありましたありました!そのワクワク感が町の景色とワンセットになって、その町を、自分にとってかけがえのない町にしていた気がします。ほんとに個人的な、従って時代がたてばいずれは消えていくものなのかもしれませんけど。
そうか郡山は駅前が発展した町なんですね!新潟市の町は駅から離れたところにあるので、発展の仕方が違うのかもしれませんけど、やっぱり今の地方だと、駐車場がついてない昔ながらの繁華街はどうしても足が遠のいちゃうのは共通ですね~。うちの実家町もそういえば、昔は駅前通りが一番の繁華街だったんですけど、今はもう;;
けど郡山駅周辺は、自然科学館目当てで時々行った限りでは、全然寂れてない、大都会に見えますよ~~!もしや昔はもっと賑わってたんでしょうか(@o@) 二大書店があった頃の郡山を、ちょっとタイムスリップして見てみたい・・・(いえ決してエロトピア目当てじゃなく(>▽<))。
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