大河ドラマにドラマあり~最終回

さて「獅子の時代」が先鞭をつけた脚本家オリジナル路線。
これは次作「おんな太閤記」@橋田壽賀子にも引き継がれました。というか、原作・永井路子という案に対し「山田さんが書いたんだから、私にもオリジナルを書かせて」と橋田センセイ自身が申し出たんだそうです
「それまで原作もののお話を頂いても、断っていたんです。だって当たれば原作者が誉められ、失敗すれば脚本家のせいにされるでしょ」
なるほど~それはあるかもな~。でも司馬遼太郎とかは「幕末は当たらない」のジンクスになってしまったことを、けっこう気にしてたみたいですが。

ともあれ幸いなことに「戦国版ホームドラマ」こと「おんな太閤記」は大当たり。最高36%、平均31.8%という高視聴率を記録し、後の「毛利元就」や「利家とまつ」に引き継がれる路線の先駆的作品になりました。
「長ゼリフになるのは、画面を見ないで聞くだけでもわかるラジオドラマのつもりで作っているから。主婦は何かと忙しく、家事をしながら見聞きすることがあります。私は若者や男の人は意識せず、30代後半から上の女性に見てほしいんですよ」
という、橋田壽賀子の明確な姿勢がスッポリはまった結果でしょうか。しかし
「合戦シーンはいりません。できれば「関が原の戦いは東軍の勝利に終わった」という一行のナレーションで済ませたかった」
てのは、「さすが」ってくらい自らの姿勢を貫いてますね~。関が原が一行で終わる太閤記って

実際これは主婦に限らず、子供でも面白かったです。たぶん、私的大河視聴歴では最も見たドラマ。というのも
「毎週「おんな太閤記」を見ること。そして最終回終了後に感想文提出」
という、あんたはNHKの回し者か的な宿題が、小学校の担任から出て
おかげで毎週欠かさず見たので、「おかか」「おまえさま」とか、泉ピン子ちゃんの朝日姫とか、桜中学校長先生による大政所とか、今でも印象深く覚えてます(渡鬼の時代ならそれほど違和感なかったんだろうけど
そういえば相手役の秀吉候補には、西田敏行とともに武田鉄矢が挙がっていたんだそうです。しかし武田鉄矢が金八先生の腐ったミカンシリーズを抱えていたので、西田敏行に決定したそうで。校長先生と金八先生による秀吉親子、見たかった~

ちなみにこの感想文、後に担任がクラス全員の分をまとめてNHKに送ったところ、なんと佐久間良子から直筆の返事が来て!
給食の時間にみんなでそれを見た記憶があるんですが、見てびっくり!巻紙に筆文字で流れるように!達筆すぎて判読不可能
確か担任が各家庭にコピーしてくれましたが、てことは現物は担任がもらったのか?なんだよ感想文書いたのはうちらなのに~

てな後日談も含め、この大河ドラマは微笑ましくも懐かしい思い出の1つです。このドラマで佐久間良子を覚えたおかげで、後にこの方がやった単発の「天障院篤姫」や鹿鳴館ものなどの時代劇も好んで見るなど幅が広がったし、思えば担任、いい宿題を出してくれました

しかしこのドラマが染み付いて、未だにねねさんやまつさん=とっても素晴らしい人、淀君=美人で気位高いヤな人(池上季実子ぴったり!)という印象が個人的にぬぐえないのは困ったもんです あっそれから前田利家ね♪滝田栄の前田利家は「なるほどねねさんも一目惚れするわ」ってくらい、カッコよかった~~~
滝田栄がこの後「徳川家康」の主役に抜擢されたのは、この利家があまりにもカッコよかったからだと思ってます♪余談ですが、同じ頃にNHKで放送されたドラマ「マリコ」の寺崎英成役もカッコよかったですね~。「おんな太閤記」(での前田利家)を見たおかげで、このドラマも興味深く見て、「そうか戦争になるとこういうことにもなるのか」って今でも覚えているくらいですから、今更ながらあの宿題に感謝です。
 
続く「峠の群像」「徳川家康」。
ここら辺で、私の「大河ドラマへのワクワク感」はなくなります 音楽もまったく心魅かれず。
いや「峠~」は振るわなかったと言っても最高33%、平均23%というまずまずの視聴率だし、「家康」は最高37%、平均31%で大ヒットと、決して評判は悪くなかったようですが。
しかし個人的にあの「黄金の日々」「獅子の時代」の興奮は。てかこの2つはなんであんなに好きだったんだろうな~??

ちなみに両作の主役・すなわち緒方拳と滝田栄は、なんと「戦メリ」の候補にも挙がっていたそうですが、この大河ドラマ主役の話があったので、大島渚が遠慮したんだそうです。
「徳川家康」はその滝田栄だったので、それなりに一生懸命見たと思うのですが、やっぱし前田利家ほどカッコよくなく 「の~ぶ~や~す~~」と絶叫するシーンでは「斬新な家康キャラだ」とは思ったものの、大口開けて号泣する利家はあんまし見たくなかったという女心が(だから利家じゃ
ちなみに池上季実子が築山殿にハマってたのが印象に残ってます。ほんとこの方は淀君といい、こういう役がぴったりでしたね♪
あとそうそう、忘れちゃいけない役所広司!このドラマで初めて知った人ですが、前田利家の滝田栄と同じくらい、「家康」での信長=役所広司はカッコよかったです~~ みんなそう思ったらしく、このドラマで爆発的人気を博してスターダムに駆け上ったんだそう。
同じく大河の信長役で一躍スターとなった高橋幸治を彷彿とさせますが、私的には目玉ギョロギョロして怖い高橋信長より、情熱的な若者って感じの役所信長がイチオシ 「おんな太閤記」にも織田信孝役で出てたそうですが、覚えてないな~

ちなみに当時の日本はいよいよ低成長時代に突入。
中曽根内閣による行政改革を断行中で、同年に放映開始して大ブームを巻き起こした「おしん」とともに、「おしん、家康、隆の里」という流行語が生まれたそうです。すなわち「忍耐」ってことですね。
とはいえ時代はロンヤスの日米貿易摩擦まっただ中。「忍耐」とは言え日本の貿易黒字はものすごく、おしんの時代はもはやファンタジーである一方、対日赤字がかさむアメリカでは、日本車ボイコットなどジャパンバッシングの流れが。これらを解消すべくプラザ合意がなされる結果、日本が狂乱のバブル景気に沸くのはこの2年後です。

こうした世相の中、大河ドラマは「いつも戦国~幕末ばっか」「いつも三英傑や忠臣蔵ばっか」といったマンネリズムを打破するため、思いっきり方向転換します。
すなわち近現代路線3部作「山河燃ゆ」「春の波濤」「いのち」。

この中では「春の波濤」だけ記憶があります。このころちょうど「鎌田行進曲」で松坂慶子を覚えたとこだったので、印象強かったのかも。中村雅俊が歌うオッペケペーも、うっすら耳の底に残っているような。
しかし全体的には、特にバンツマ好きで「花の生涯」から見ていたような昭和一桁両親なんかは「なんだかな~」「大河はつまんなくなったな」とブーブー言いながら(それでも)近現代モノを見てました。
おそらく大多数の大河視聴者もそうだったんだろうと思います。NHKもそうなることは充分わかっていて、それでも思い切って冒険してみたのでしょうが、視聴率はやっぱり苦戦。そして何より、思いがけない大問題が。

ここはあまりにも興味深かったおかげで、文章めちゃ長くなっちゃったので別の記事にします。

どうでもいいですが、「古畑任三郎」のスペシャル「すべて閣下の仕業」って、あれ「山河燃ゆ」へのオマージュ入ってませんか?いえ単なる松本幸四郎つながりの思いつきですけど
日本と南米のかけ橋として(私服を肥やしてるのはアレだけど)ひたすら前進するも、最後ピストル自殺する松本幸四郎って、どうしても「山河燃ゆ」とかぶってしまいます。犯人が自殺して終わる古畑ってのもこれだけだし(他は古畑が断固として止める)。
ちょうど「新撰組!」に取り組んでた最中の三谷幸喜さんが、大河へのオマージュを込めて作ったのかな~なんて、楽しい妄想しています

さてそんなこんなで近現代路線は3作で終了。
時代劇路線に復帰した次作「独眼竜政宗」は大当たりし、第2作の「赤穂浪士」の平均視聴率31%をはるかに超えて歴代トップという快挙に!地元仙台では、なんと60%を越えた回もあったとか。
時代劇は着々と冬の時代に突入していたのですが、まだ新人だった渡辺謙の存在感もさることながら、勝新や北大路といった重鎮、ジェームズ三木の脚本などすべてが合致した結果でしょうか。
個人的には「役所広司にやってほしかった」と思った程度で、特別な印象はない大河なんですが、岩下志麻の政宗母がめっちゃ怖かったのを覚えてます 「なるほどこれは政宗たまらんわ」という説得力がハンパなく。

続く「武田信玄」「春日局」も大ヒット。
「武田信玄」のプロデューサーは、準備段階では気乗りがしなかったそうです。
「だって「政宗」が大当たりしてるし、僕らの次はヒットメーカー・橋田壽賀子さんが決まってる。僕らは「谷間」かって暗い気持ちになりましたよ」
しかし、ハイビジョン時代を控えて大画面TVが急速に普及している状況に対応し、「スケールの大きい作品」すなわち大河初の本格的オープンセットなども含め、重厚な時代劇をという目的が当たったのか、「政宗」には及ばなかったものの歴代2位の視聴率に。「今宵はここまでにいたしとうござりまする」というナレーションはその年の流行語大賞になったそうです(覚えてないな~)。

ここら辺は個人的に「天才たけしの元気が出るTV」に移行していたのか、もうさっぱり記憶がなく。
歴代3位を記録した「春日局」は、大原麗子を見て「こんな美人じゃないだろう春日局は」と父ことじーちゃんがぶーたれてたのを覚えているのみ。
ついでにじーちゃんは、続く「翔ぶが如く」の後「太平記」での楠木正成=金八先生を見て「これが楠公かよ」とも嘆いていました 戦中派が受けた学校教育だと、楠木正成ってなんかもう神様状態だったそうですね。

その後も、NHKの島会長による「ペレストロイカ」、「1年間放送」の不文律を破り、東北と沖縄という辺境(?)から日本を眺めた「琉球の風」&「炎立つ」、「花の乱」の後本流に返り咲いて、視聴率も返り咲いた「八大将軍吉宗」(子役から西田敏行に交代するシーンは今でもすごいと思う)や「秀吉」(竹中直人の勝利)、そして得意の幕末・戦国・忠臣蔵路線&女性・若者向けホームドラマ路線などなどありつつ、今に至る大河ドラマ。
ここら辺はぜひ鈴木嘉一・著「大河ドラマの50年」を!「竜馬伝」までの各大河の裏話はもちろん、記事に載せなかったこぼれ話も多々なので、大河ドラマ好きな方には必ず楽しめる一冊だと思います
またNHKのHPにも少しだけ→ 「歴史ドラマにも歴史あり」

大河ドラマの50年を俯瞰してみると、イメージ的には「保守的なものの極み」であるNHK大河ドラマが、いかに斬新な試みの連続で、時代を先取りしつつ時代を映す鏡であったか、よくわかって面白いです。
今年の清盛はなんだか残念な視聴率だったようですが、大河ドラマ自体はまだまだ続いて欲しい!この歴史を見てしまったら、このままフェードアウトしてしまうのは勿体無い!

そして来年はいよいよ「八重の桜」
「復興応援大河」という今までにない位置づけのもと、「一般人がオープニング画面に」など斬新な企画もあって、今から既に楽しみな大河。願うことはただひとつ「どうぞ来年はコケませんように~~」

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↑オープニング参加希望者にNHKから送られた、坂本龍一氏のサイン(の印刷)です。
オープニングを手がけるスタッフが「何かメッセージを」と頼んだら、「八重の桜」のスコアの裏に書いてくれたんだそうで
「たかが電気」で評判を落とした感がある昨今の教授ですがYMOの頃からやっぱり好きだわ~。「戦メリ」だって見に行ったもんね♪
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テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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