大河ドラマにドラマあり~後編

会津図書館で見つけた本「大河ドラマの50年」。
著者・鈴木嘉一氏は昭和27年生まれの、読売新聞記者。
大河ドラマには仕事ではもちろん、個人的にも大きな関心があり、製作現場やご当地ロケ、俳優へのインタビューや関係者およそ1000人以上に、以前から取材を重ねてきたのだそう。

そんな「併走者としての視点」から書かれた、歴代大河ドラマのエピソード及び時代背景の数々。
主役や脚本家が交代するといった前代未聞のハプニングが起きるも、「当たらない」というジンクスがある幕末モノとしては、最高視聴率30%超、平均24%の大健闘で終わった「勝海舟」からの続きです。

とはいうものの。
続く「元禄太平記」「風と雲と虹と」「花神」の頃って、「ええっ」と驚くようなことがあんまり。
いえね原作者・海音寺潮五郎が初回冒頭で解説として出演した(「風と雲と虹と」)とか、世相と日付もあいまって最高視聴率41%超を記録した(「元禄太平記」)とか、個別に面白いエピソードはあるものの、子供過ぎてリアルタイムで見た記憶がないせいか、どうにも思いいれが。もちろんこれ以前の大河だって、見た記憶どころか生まれてもいないわけですが、やっぱり作り手側が試行錯誤している時代っていうのは、読んでるだけでワクワクするのよね~

ここら辺は目次でも「安定期」に分類されてます。視聴率も決して悪くはなかったけれど(もっとも「花神」は「幕末モノは当たらない」のジンクスを破れなかったそうですが)、一種のマンネリズムに陥ってた面なきにしもあらずだったのでしょうか。

というわけで「花神」の後をうけて、ついに登場するのが「黄金の日々」ジャジャーン!ジャジャンジャジャンジャジャーーン!ジャージャージャーーン!ジャージャーーーン!
スミマセン、もう「黄金の日々」という言葉を聞いただけで、あの壮大な、夕陽のタイトルバック&N響のテーマ曲が頭の中に。
私の大河ドラマの記憶は、まさにここから始まります♪子供心に松本幸四郎(当時は市川染五郎)のカッコよさに胸ときめかせ、根津甚八や川谷拓三の処刑シーンは今も覚えているほど印象に残りました。おそらく話の筋はまったくわかっちゃいなかったと思うのですが、あのテーマ音楽が始まるとワクワクしたのを覚えています。おかげでいまだにこの音楽が好きなくらい。

「黄金の日々」は、安定してきた大河ドラマのマンネリズムを打破すべく、色々な点で新機軸が打ち出された画期的なドラマだそうで。
まず主役が、それまでの有名武将や時代劇ヒーローではなく、堺の商人という一介の庶民。
従って内容も、それまでの為政者側からの視点ではなく、庶民の、経済の視点。
主役級には市川染五郎に、「状況テント」の根津甚八、「ピラニア軍団」の川谷拓三といった、意表を突くキャスティング。そして初めての海外ロケe.t.c.

私が一番好きな大河ドラマ時代って、ここら辺の「黄金の日々」や「獅子の時代」なんですが、この製作者側の「なんか新しいことを始めよう」というワクワク感が、内容とあいまってこっち側まで伝わってきてたのかな~なんて思います。さっきも書きましたけど、このころの大河ドラマって子供心にほんと、オープニング曲を聴くだけで、うわ~始まるぞ~っていうワクワクが押し寄せてくる感じでしたから♪
大河ドラマとの幸せな出会いだったと思います。

ちなみに五右衛門釜ゆでシーンで、「背面から飛び込む」という演出をしたのは根津さん本人だったそうです。そんなことして釜の縁に頭をぶつけたらとおののく演出陣に対し、根津さんいわく
「見物人に、ひいては権力に対してまっすぐ向き合いながら死んでいきたい」
ヒュ~かっこい~~ 確かにあの、見物人に向かってニヤ~と笑ったまま仰向けにぶっ倒れる根津甚八の姿は、カッコよすぎていまだに脳裏に焼きついてます

次の「草燃える」は、しかしまったく覚えてないんですよね~
若い御家人が「なんちゃって」という流行語(今は死語)を口走るなど、あえて現代語調のセリフを取り入れて、賛否両論を巻き起こしたそうです。あ~バンツマ好きで「花の生涯」から見てた父ことじーちゃんあたりは否っぽいな~ だから覚えてないんかな~?音楽は個人的に、歴代大河ドラマの中で一番好きですけど(2番目は獅子の時代)

てなわけで、次はいよいよマイ大河ベスト1!
「獅子の時代」の登場です!ダッダダダダッダダダダッダダダダッダッダッダッ
スミマセン、今頭の中がライオンとダウンタウンブギウギバンドでいっぱいになっちゃって

これも色々新機軸を試みた大河ドラマらしくて、例えば初の、原作なし・オリジナル脚本。NHKドラマ「男たちの旅路」が大ヒットした山田太一さんが脚本を手がけました。
「男たち~」は「山田太一シリーズ」「向田邦子シリーズ」など、いわゆるNHKの「脚本家シリーズ」のうちの一作。このシリーズは「勝海舟」での倉本降板という事件を受けたNHKが「脚本家をもっと大事にしよう」と体制を見直したところから生まれたものだそうです。ちなみに「男たちの旅路」の主演をつとめたことで、山田太一脚本に惚れこんだ鶴田浩二は「山田さんのホンならいつでもスケジュールを空ける」と言い、「獅子の時代」では大久保利通役を快諾。う~ん1つ1つがドラマのようにつながってきますね~♪

そして取り上げる時代は明治。
今まで幕末維新は描かれても明治は描かれたことがなく、また幕末・敗者側の架空人物という設定は「三姉妹」であっても(「三姉妹」では次女が会津藩に嫁いでます)、旗本よりも草の根に近く、激動期の荒波をもろにかぶった民衆の側から明治を描いた大河ドラマは初めて。秩父事件が取り上げられるのも初でした。海外ロケは「黄金の日々」以来ですが、大河ドラマなのにフランスから始まるという驚かしも、やはり画期的。
そういえばこのドラマも「八重の桜」同様、会津人が主役なんですよね。実は会津に引っ越してから知ったんですが(何見てたんでしょうね~)、知った時は今更ながらにうれしかったです

このドラマはね~、「なんでそこまで?」ってくらい好きでした
つっても話の筋は「黄金の日々」同様ほとんど覚えてないんですが、この音楽聴くともうワクワクして。日曜20時がほんと楽しみで、しまいにはTVにマイク近づけてオープニング曲を録音した記憶も。
おそらく今の言葉で言えば「萌え~~」だったんだと思います あの男くっさい、泥水はいずりまわるような痛めつけられ方。やられてもやられても反抗する男の美学(??)に、じゃっかんサド混じりな魅力を感じつつ、子供心に萌えていたんだろうなと

その点、菅原文太の起用は大当たりでしたね~♪小学生女子まで萌えさせたんですから
「仁義なき戦い」や「トラック野郎」などで大スターとなっていた菅原文太。今でこそ釜ジイあるいは「朝日ソーラーじゃけん」のおじさんですが(いやそれすらも昔か?)、当時は「TVに出ない最後の大物」と言われていたそうです(余談ですが「古畑任三郎」の「過去の大物刑事」という設定はピッタリでしたね~)。
出演に当たってはこんなコメントを。
「ありきたりのTVドラマじゃ、俺が出る意味がない。従来のものに対し、どこまで突っ張れるかが勝負だよね。俺も日の当たる場所を順調に歩いてきたわけじゃないから、銑次と重なる部分は多いんだよ」
さすが文太兄ィ やっぱし兄ィはこうでないと

ちなみに正反対のクールビューティ・加藤剛も好きでした 当時「キャンディキャンディ」とかも好きでしたが、女子は大体において、テリィタイプとアンソニータイプ、両方とも好きなのよね♪ なので「獅子の時代」、女子的には、クール&ワイルドなキャラ設定、及びその2人が敵同士で親友という萌えな構図だけで、もはや勝ちを約束されてたと思います

もっとも視聴率は、最高26%、平均21%と、賛否両論だった「草燃える」より低かったのですが
しかしテレビ大賞の優秀番組賞を受賞するなど、評価は高かったそうです。そうでしょうそうでしょ~~♪

そうそう大好きだったオープニングテーマ曲にも「エレキとN響の融合」という新しい試みがありました。
これは演出陣がプロデューサーに対し
「明治時代を命がけでやるというなら、音楽はダウンタウンにしてくださいよ」
と膝詰め談判したところから始まったのだそう。ってどんな理屈なのよ「明治時代ならダウンタウンブギウギバンド」って 単なるファンか??
「エレキが通るわけがない」「俺の首を飛ばす気か」との現場の声はもちろん、NHK交響楽団も当初は渋り、宇崎竜童も「N響とできるわけがない」と危ぶんでいたそうですが、最終的にはOKが出て
演奏後はN響の人たちが「いやあ、面白かった」と言ってくれたそうですいい話だ~。しかしちょっと「エレキ(死語)」が入るだけで首が飛びかねない時代だったのか~
ちなみに本編に「OUR HISTORY AGAIN」というモロに宇崎&ダウンタウンな挿入歌という試みも。
この曲はあんまし好きじゃなかったんで、個人的にはどうでもいいんですがしかし後年「幕末青春グラフィティ」と題したドラマシリーズが民放であって、ビートルズやS&Gの歌をバックに坂本龍馬や福沢諭吉といった当時の若者が活き活きと動いてるのを「こういうドラマ好きだなあ」と思いながら見てたもんですが(のちに映画にもなりましたね。吉田拓郎の歌で)、お堅いNHKがお堅い大河ドラマで、そういうのも既に先取りしてたってのはやっぱりすごいな~と。

ああ今回で終わるつもりだったのに、「黄金の日々」と「獅子の時代」だけで予想外の長さに
次回に続きます~
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テーマ : 大河ドラマ - ジャンル : テレビ・ラジオ

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