放射能についての授業

というのを、こないだ小学校の授業参観でやっててびっくり。
いや放射能関連の授業が新設されたとは聞いていたのですが、こういう「放射能勉強会」みたいなのに参加したことも、原発について必要以上に学んだこともないママ的には、いきなり放射能の話が始まったのでけっこう驚き
というわけで、時々生徒に戻ったような気持ちになって、興味深く参観してきました
以下、相変わらず主観の塊で参考になることは少ないと思いますが、個人的にとっても印象に残ったことを。

まずはなぜ今のような事態になったか。それはマグニチュード9.0、震度6強の地震と津波が福島・浜通りにもやってきて、東京電力福島原子力発電所が事故ったからだ。
というところから話は始まったのですが
「ところでなぜ「東京」がつくかわかりますか~」「ハイそれは東京に電気を送るためです」
って、うお~しょっぱなから印象に残った~~! 会津の子たち、これが「東京(関東)の電力のための施設」って、ちゃ~んと学びましたよ~~ 私的にこれは今回の事故を考える際のけっこう重要ポイントなので、「よくぞ先生触れてくださいました」って感じであると同時に、「こうして戊辰戦争も語り継がれたのであろうか」とかもうっすら思っちゃいました ま、これはあくまでも福島原発の基本説明なだけで他意はないかもしれませんが。

先述のとおり、原発の詳しいことはいまだにさほど学んでない私。この時の説明で、非常用電源を回す「タービン」は、東北電力の電気で動かすとか、その電源が津波をかぶったのでダメになったとか知って、生徒と一緒に「へ~~~」でした
中でも「へ~~~」だったのが、この非常用電源、竜巻被害の多いアメリカでは地下に埋めてある。しかし津波が多い日本は、アメリカからこの原発一式(の設計?)を買う時、「津波に備えてうちの非常用は屋上に置かせてくれ」と頼んだのだが、アメリカの答えが「そんなら売らない」だったので、アメリカ同様、下に置く設計になった、という話。へ~~~日本も考えてたんだな~。なのになんでアメリカだめ出ししたんだろう?なんかライセンス料とかお金の問題??

ちなみに震度6強に見舞われた浜通りのとある小学校では、下駄箱が全部倒れたので出入り口がふさがれ、先生方の必死の復旧により開通するまでの1時間、生徒たちは教室に閉じ込め状態だったそうです そうか、そういう状況もありえるんだな~。まあいざとなったら屋上とか(津波)、1階の窓から出るとか(火災・倒壊)、何かしら逃げ道はあるのかもしれませんし、ここまで大きい災害だとすべてはもう運・不運ってとこもあるから、そういうまさに「想定外の事態」が意外と「あの時ああなったのは逆に幸運だったんだ」と後から思う場面になりえる場合もありますが、それでもその1時間の生徒たちの恐怖と、先生方の焦りたるや如何。

放射能については、特に目新しいことはなかったかな。ま基本というか。
放射線の種類、放射性物質と各々の半減期、見慣れた文部省作成・県内の濃度色分け地図e.t.c. 
この色分け地図を見た時の子供たちが、うちの子含めて「へ~~~こんななんだ~」と初めて見るような反応だったのが、こっちも「へ~~~」でした。大人と子供の目線の違いというか、大人にはもう見慣れて飽きたとか思われるような地図も、子供には意外と情報として入ってなかったんだなそりゃそうだなと。

そうした話の中で
「会津は大丈夫だけど、うちんとこにはこれも飛んできてます。今の家は今年中に出なきゃいけないんだけど、この飛んできたやつが半分に減るのは数億年後。もう帰るところねーよどーすべー」
と笑い飛ばすように語られる言葉を、実際に浜通り(の中でも原発直下とも言うべき町)から避難してきた先生の口から聞くと。
個人的には
「放射能は(醤油や油なんかと同様に)量の問題。そして今現在、その量からして福島県内それほど心配する必要ない地域が多い」
という感覚ですが、まさしくその量の問題で帰れない地域も確かにあるという、私が考えてもどうしようもないから普段は若干封印っぽくしている厳然たる事実が、リアルに浮上してきてしまうというか(しかし浮上したからといって、やっぱり「・・・どーすべー」なのですが)。

と、基本「へ~~~」だらけだったこの授業の中で1点だけ、異を唱えたくなったのが、ここで説明された
「しかし放射能を闇雲に怖がることはない。なぜなら事故以前から放射線はレントゲンで使われてたし、宇宙線として地球上に来ていた。放射性物質は花や食物にもある」
というところでした。
いやこの説明自体はまったくその通りなのですが、それを受けての結論が
「だから放射能全部が悪いわけじゃない。事故以前の放射能は良い放射能、事故でばらまかれた放射能が悪い放射能」
めいてたのがどうも(ここで「ああ自然の放射能はいいんだよね」という声も子供の中から上がってたし)。
子供にわかりやすく教えるためには、善玉悪玉に分けるのが有効だとはよくわかるのですが、そして
「事故以前からあった放射能は気にすることナシ、事故でばらまかれた放射能に注意が必要」
なのはそのとおりなのですが、しかしながら、放射能に善悪はありません。事故以前の放射能を気にする必要ないのは、別に善玉菌だからじゃなく、量が問題にならないほど少なかったからです。事故後の放射能に注意しなきゃいけないのは、それまでとはケタ違いの量が一気にやってきたからです。「自然」というエコな響きにだまされるのはやめましょうよ。いつ「自然」からしっぺがえしくらうかわかりませんよ~。

で、じゃあどう注意すればいいか、対策等。
放射性物質が多い時や場所(木や草、地面、屋根、雨どい、または風が強い時の土ぼこり等々)とその理由、そういう時はどうするか(窓を閉める、手洗い・シャワー等々)などで、これもまあ基本。
「外部被曝」と「内部被曝」という言葉を使っての説明だったのですが、ここで印象的だったのが
「外部被曝恐れるに足らず。洗えば落ちる
という感じで、それはまあそうかもしれないですが、それが強調されてるような印象を受けたのが(←個人的印象です念のため)「やっぱり福島は最前線なんだなあ」という気がしてしまったこと。
そしてそれ以上に印象的だったのが、「内部被曝」=「それら外部被曝の要因(土ぼこりや水たまりなど)を、うっかり経口摂取してしまう」だったこと。ある意味「福島問題(?)」がここまで大きくなってしまった最要因ともいえる「食品による内部被曝」の話は一切スルーでした これはかなり印象的、というかほとんどびっくりの域。

確かに、この話を福島の子供にうまく教えるのは、かな~り難しいと思います。だってヘビーな話ですもん。
県外の子なら「福島の食品」と「内部被曝」をつなげるのは何の痛みもなくできるかもしれませんが、県内の子にとって「福島の食品」=「日々食べてるもの」で、しかも「自分の家族や親戚、知り合いが作ってるもの」かもしれないわけで。
だからこそ教えなきゃ、という考え方もあるかと思いますが
「ええっ福島のものってダメなの!?じーちゃんばーちゃんは危険な物を作って売ってるの!?」
なんて子供たちが単純に思っちゃったら。
「内部被爆は危険→しかしながら今現在の数値ならさほど気にしなくてもいい→じーちゃんばーちゃんたちは決して危険な物を作ってるわけじゃない→しかしながら専門家の間で意見が分かれている部分もあるので食材によっては注意しよう」
なんて話をですね、「レントゲンも放射線の一種」という放射能に関する基本知識すら「へ~~~」なんて反応がかえってくるような、ある意味真っ白状態な子たちに、どうやったら過剰に思い煩わせることなく、ニュートラルに理解させることができるのか。大人だってわからなくて右往左往したあげく、ネットで醜い争いしては「で結論はどうなんだ。答えを善玉悪玉に分けて教えてくれ」ってな感じの風潮なのに。難しいです。

この難しさを思うと、私の中で浮上してくるのが「自虐史観」です(って唐突ですが)。
私は自虐史観って、そんな自虐言うほどひどくない(まそこまでひどくない頃に教育を受けた世代ってこともありますが)、むしろそういう「自分たちは加害者でもあった」という視点は成熟の証というか、必要な視点だとすら思ってます。
しかし、それが終戦からあれだけ時間がたった後にやっと出てきたというのは、やっぱりそういう客観的な視点を得られるのは、喉もと過ぎて熱さを忘れてから、つまり他人事になってからなんだな~なんて、この授業を見てしみじみ思ってしまい。
と同時に、サヨクで自虐史観を必要なものだと肯定している私は、先の大戦で中国とかには「申し訳ないことしちゃったな」とけっこう本気で思ってる・つもり・だったのですが、それは「昔の誰か他人がしたこと」という意識が、やっぱりどっかにあったのかもなと、初めてリアルに思ってしまいました。よしりんが、孫に極悪人呼ばわりされるじっちゃんに同情して「じっちゃんの名誉のために」と戦争論を書いた真情が、今ならわかる気がするというか(アンチよしりんは変わりませんけど)。
日本の大変さ、つまり空襲や原爆や軍隊や銃後や戦後の混乱や・・・といった「被害」は、子供の頃から色んな本で読んで身にしみてるつもりでしたが(だからいかなる意味でも戦争肯定する気には絶対なれない)、そうした被害者だった自分は実は加害者でもあった、なんて、そんな納得できない、あんなにひどい目に遭ったのに、どうしてさらにそんなことまで言われなきゃいけないの、という、自分が2つに引き裂かれるような痛みを伴った「自覚」は、したことありません。それは取りも直さず「他人事だから物分り良くなれてた」っていう証なわけで。

めちゃめちゃ話がそれてしまいました
念押しですが、私は福島を「加害者でもあった」なんてまっっっったく思ってません。
ただこういう自分の思いも含めて「当事者が客観的な視点を持つことの難しさよ。てかもしかしたらそれは不可能だって歴史が証明してんじゃね?」といったことを、自虐史観を例に思いつきましたってだけです、授業中に(←ちゃんと授業聞け

測定器で生徒たちに実際に教室を測らせたり(なんと玄関よりも教室の方が高い!先生いわく、コンクリート(もちろん事故前からのもの)から出ているので、数値は変わらないと業者さんに言われたのだそう。もっとも高いったって0.12でしたけど)、色々興味深い本編が終わって、最後は質問コーナー。
ここでまた印象深い質問が来ましたよ「なぜ東京の原発が福島にあるんですか」
キターーー 私も生徒だったらこれ聞くな。てか今でもそう思ってるな。だってやっぱ理不尽だもん
先生いわく
「色んな説があってわからない。土地がなかったってのもあるし、危険だって知ってたんじゃないかって説もあるし(ここで「えっ危険だって知ってて福島にって・・・」と反応した子GJ)、浜通りが自分から手を挙げちゃったという説もあるし」
うんうんこういうビッグプロジェクトは、色んな理由が絡み合うから「これが理由です」なんて簡単に言えないよね。でもこの理不尽さを子供たちと共有できた気がして、ママちょっとうれしい(ああ戊辰戦争もこうして語り継がれ
続く質疑応答もまた面白かった 「花の蜜吸っても大丈夫ですか」「アリに触っても大丈夫ですか」
そこで先生が
「ヒマワリがあまり放射性物質を取り込まなかった。だから大丈夫じゃないかとは思うが、調べてないからわからない。不安ならやめとけ」
と答えた途端「しまった吸っちゃったよーーー」という男子の声が一斉に。どんだけひもじいんでしょうね てかママ子供の頃花の蜜なんて吸ったことないんだけど、今の子もけっこうワイルドなのね。
アリは「触っても大丈夫」との答えに対し「食べても大丈夫?」食うなーーー 放射能とは関係なく食うなーーー
その後、先生の「南相馬の内部被曝検査で、数値の高かった人が共通して食べていたものがあります。何でしょう?」との問いに生徒「アリ」。だから食うなーーー(答えはイノシシ肉と山菜、あと鹿肉だったかな?うろ覚え)

そんなこんなで、大爆笑も混じりつつ興味深い授業参観だったのでした。
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テーマ : ひとりごと - ジャンル : 日記

コメント

こんにちは!

非常に興味深い授業でした!
福島以外の小学校で、これだけの授業をしているところがあるのでしょうか。多分していないと思う。うちの子がそんな話ししてたことないし。残念です。

ただ僕は子供たちにはっきり言ってます。原子力発電は“悪”だって。もしそんな関係の仕事に就くなら、親子の縁を切る!とまではっきり言ってます。

原発は実はこれまでも必要なかったとか、放射線が大量に地上に存在するのは異常なことなんだとか、色々理由は挙げたら切がありませんのでひとつだけ。

それは世代間倫理を持つかどうか、だと思います。これは子を持つ親であれば絶対考えなくてはいけないことで、原発については世代間倫理を一切欠いた立場だと言えます。
今の人間が欲望を満たす為に、未来の子供達、孫達、そのまた子供たちが危険に晒されることは避けなくてはいけないと思っています。

未来と言うより、すでに危険に晒され続けている福島の方達に、今それを人類が学ばなければ申し訳なさ過ぎると思います。
広島や長崎の経験がありながら、この度はなんと情けない結果になってしまったのかと、毎日胸を痛めています。

いきなり長文で失礼いたしました!

Re: こんにちは!

こんにちは~!コメントありがとうございます♪

原発は・・・よくわからないんですよね。私にとっては沖縄の米軍基地と同じような感じで、善とか悪とかどうしてもきっぱり言い切れない感覚があって。。。たぶん色んな問題を個別に考えずに、ごっちゃにして受け止めてるからだとは思うのですが。

廃棄物といういつか必ずやってくる問題を先送りにしたままで存在しているというのは、やっぱり納得できないものがあります。原発が根本的に必要不可欠な存在ではないなら尚更です。
「原爆を体験した唯一の国」というのを軽く扱ってはいけないとも思いますしね。「喉もと過ぎれば」にしなってしまうのは恐ろしいし(絶対将来しっぺがえしが来そう)、ある意味、武器にも出来るカードだとすら思うこともあります。

しかし同時に「親が原発で働いて自分を育ててくれたから、原発に反対する気になれない」と、今まさに原発事故で避難を余儀なくされている子が言う、という状況も頭を離れないんですよね~。これはもうシステムの問題で、しかも似たようなことは他にもいっぱいあるけど、今回はたまたま原発事故でわかりやすく出てきちゃったなというような。

まとまらなくてごめんなさい(汗)。ただ私自身が賛成・反対どっちつかずなので、賛成・反対をきっぱり表明して行動できる方の意見は貴重だと思ってます。
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