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愛と幻想のファシズム

っていう、村上龍が随分昔に書いた本がありまして。たぶん80年代中頃くらい?
エヴァンゲリオンの登場人物名がここから出てたりして、けっこう有名な本かもしれません。
気に入った本はしつこく読み返すタチなので、初めて読んでチンプンカンプンだった大学時代以来、折に触れて読み返しては、「いやいやいやさすがにこれはないわ」と、さすがにマンガちっくな展開だと苦笑する程度には理解できたと思いつつ、小林よしのりの「戦争論」を読めば「ああこの本みたいになるのかな」、石原都知事が変なこと言えば「ああこの本みたいに(略)」、アメリカとイラクが泥沼になれば「ああこの本(略)」と、事あるごとに「この本に書かれた世界みたいになりそうでヤだな」と怯えては、その予想が外れたことに心底ホットし、を繰り返すという具合に、頭のどっかに、ある種の判断基準としてずっとある本なのですが。

最近も「ああこの本(略)」と思ってるんですよね。TPP&橋下市長のおかげで。
私が「ああこの本(略)」と思ったことは、上記の通りほぼハズレてるので、以下もあまり気にせず、流し読みしてください。単なる個人的吐き出しなので。

「愛と幻想のファシズム」は、ざっくり説明すると、「ザ・セブン」という、食料、エネルギー、金融なんかの、アメリカ系・超超超巨大多国籍企業が7つ集まったグループがありまして。
これが日本を着々と侵略しようとしてるわけですね。これが日本に来たら、例えば自動車業界で生き残れる=「ザ・セブン」に加盟できるのは、トヨタ・ホンダ・日産の3社のみ。スズキとかマツダとかその他弱小企業は全部潰れるまたは吸収合併みたいな。しかもこれがほぼ全業種でなされてしまう。
「このままじゃ日本は日本でなくなってしまう。アメリカの手先と、そのおかげで細々暮らす奴隷ばかりになってしまう」
というわけで立ち上がるのが、主人公の元ハンター・トウジと、彼を党首にした政治結社「狩猟社」に集う仲間たち。

という話なのですが、どうしたって「ザ・セブン」がTPPに見えてしまうのは私だけではないはず。え?妄想?
ザ・セブンが来たら、系列以外の会社は全部潰れます。そ、それは困る~~~!!!
実際には、ま潰れるところもあるけど、潰れるというか吸収合併で、だんだんだんだん生活が苦しくなりつつ、気づけば食料や資源その他をがっちりアメリカ(というかザ・セブン。もはやざ・セブンはアメリカ政府をも超えた多国籍企業という設定)に握られ、これに逆らったら、或いは相手の状況一つで簡単に切り捨てられて生存不可能という状況に。う~~んそれも困る気がするな~~

で、これにトウジたちが「自主独立!」という感じで、日本の救世主=独裁者になるべく頑張るのですが、しかし私的にははっきり言って、トウジに支配されるくらいならザ・セブンの方がはるかにマシという感じで

だってトウジたちって、弱者を救う気ないんですもん。そもそも「日本がこれだけダメになったのは、弱者がのさばりすぎたから。まずは弱者を叩き潰さなければならない」ってとこから出発してるんですから ポリシーは「弱者はいっぺん餓死しろ。その後残った強者で、強い日本を作る」ですよ。そんなキ○○○にどうして肩入れできるかっつーの。

しかし、この本の中ではそんなトウジが大人気なんですよ~。「維新塾」、じゃなくて「狩猟社」には、現職国会議員始め、老若男女が何万人も応募。なぜ~~~!?
まトウジも最初からいきなり「お前ら飢えて死ね」とは言わず「こうして生き延びてる、それだけであなたは既に強者なのです」とか「私が弱者と言ってるのは、国の危機的状況の中で、民主主義的に決めようと先延ばしにするだけで、こうしてかわいい赤ちゃんが飢えているのに何も救済しようとしないあなただ!」(←ここら辺ちょっとうろ覚え)とか、まーうまいこと言ってますけど。
けど支持者たちは、別にそんな表面的な言葉に騙されてるわけじゃありません。むしろ自分たちが「トウジに攻撃される弱者」だって知ってるから応募してくるんですよ~。「私たちは弱者じゃありません。あなたの味方です。だから強者です。どうか切り捨てないで下さい」って。あああ~~~ヤだ~~~~。これがもう、ムシズが走るほどヤ。

自分たちが「弱者」だから「自分たちとは違う、強いヒーロー=独裁者」を求めるという心理もあるのかしら?でも私も「弱者」だけど、そんな心理はないわ。だってそんな強いヒーローなんて、弱者を食べるに決まってるもん。
そう、私は「国や政府は信じられない」という人たちが、同時に「もっとリーダーシップのある政治家を」と求めるのが不思議で不思議で。結局政府を信じるんじゃんとか
私は基本がサヨクなせいか「国や政府が信じられない」なんて当たり前で、でもその信じないのが当たり前な自分から見ても、今回の震災じゃ~政府がバタバタするのは無理ないな人間だもの、という感覚で。だって「国」なんつー大きい組織で、しかもあっちでは町が丸ごと消失、こっちでは避難所が手配しきれない、しかも未体験の原発事故が起こってマニュアルもない、そんなのをどうやって全方位的にスパスパと解決できるっていうんでしょ?「Aを立てればBが立たず」な状況に囲まれて、せめて一丸にならなきゃいけないのに、何をやってもやろうとしても、批判ばかりが増えていく。サヨクとしては「同じ人間として同情しちゃうな~」とまで思っちゃいました
「超人」ならスパスパ解決できるのかもしれないけど、これがトウジみたいな人だったら最悪だと思うんですけど、それでもこういう時は「超人」の方がいいかなあ~??

話がそれてしまいました
つまり、「愛と幻想のファシズム」で来る未来(といってもこの話はまだソ連が健在な時代なので、とっくに過去ですが)って、アメリカに呑まれるのも、日本が独立するのも、どっちも弱者には地獄だよって話で。クソとウンチどっちがマシ?みたいな
作中で言えば「ザ・セブンに従えば、不健康な世界が当分続く。狩猟社に従えば健全な、強者による美しい世界になる」(←うろ覚え)みたいな感じで、うーん個人的には少なくとも「強者による健全な美しい世界」はゴメンこうむりたいわ~
作中に、思想じゃなく生活者として「ザ・セブン」とも「狩猟社」とも対立したあげく廃人にされちゃう「優しいシマウマ」のような人が出てくるんですが、そういう人は絶対、どちらによっても救われないのよね・・・

ま橋下市長はTPP賛成だそうですから、厳密に言えばトウジではないんですが。
「優しいシマウマ」がそのまま生きられるような日本になってほしいです。

さらにこれは関係あるかどうかわかりませんが、書いてて思い出したので余談。
天皇陛下の手術無事終了 この「心臓バイパス」って、私の父ことじーちゃんもやったので、なんだか懐かしいです。しかしうちのじーちゃんでも、1ヶ月は入院してましたけど(まじーちゃんの場合は、いったん心臓止めての手術だったのかもしれませんが)、わずか2週間で退院、その後すぐ3.11って、ほんとにもう、頭が下がるとしか。
私はサヨクですけど、天皇皇后両陛下は好きです だって言うことが常に「戦後民主主義サヨク」で、引っかかることがまったくないし、何よりほんっとーーーに国民のことを思ってくれてるんだな~って、そんなの表面だけでしょとか疑うことなく思えますもの、このサヨクですら
いつだったか、日テレ得意の皇室2時間番組みたいなので、通りかかるお召し列車を撮るべくTVカメラが草深い線路沿いにスタンバってたのですが、なんと両陛下、カメラにお辞儀して、通り過ぎるまで列車最後尾にず~~っと立ちっ放しでした!私らが夕飯食べながらダラ見するためのTVカメラなんぞに向かって、見えなくなるまでず~っと。うわ~電車の中ですら座ってられないなんて。こういうことが行く先々でどんだけ繰り返されてるんでしょうか。
しかもこれを文句一つ言わず「責務」としてやってらっしゃるんだろうな~と、ほんとに疑うことなく信じられるんですよね~。小林よしのりが描いてる「国民のために無私の心で祈ってる」というのを、そのまま受け入れられるという(小林よしのり嫌いだけど、本はほとんど読んでるという

しかし、やっぱり小林よしのり流の美化も気になって。
よしりんいわく「天皇陛下は古来から弱者のことを常に気にかける存在。施政者はその天皇陛下の下にあって、陛下には逆らえない。いわば国の上と下で施政者を挟んでいる仕組みになっている。これは日本の優れたシステム」なのですが、いやそれは理想の上澄みだな~。そう見ることもできるけど、別な見方もできるでしょ。
光明皇后とか昭憲皇太后とかの例のとおり、古来から天皇皇后がピラミッドの底辺のために尽くす存在だというのは別に間違いじゃないですよ。でも同時に、古来から施政者が利用する存在でもあったでしょ。自分の権力に正当性を担保するっつー。私がそれを知ったのはマンガ「日出づる処の天子」だったけど、後の聖徳太子が推古天皇を推した時、馬子に「無欲な方だから推古天皇をお立てになったのかも」と思わせるも、次第に「今の王子は、まるでこの蘇我になりかわったごとくだ。彼は名より実を取ったのだ」と青ざめさせたあたりはコーフンしたもんです
その「名より実を取る」手法があまりにも鮮やかかつ効果的な手法だったので、藤原にも受け継がれ、武家政治にも受け継がれ、幕末にも受け継がれて(会津なんて孝明天皇の信任厚かったのに、向こうが「錦の御旗」を押し立ててくるもんだから)、今に至るわけじゃないですか。
更に面白いのは、このシステムは下に行ってもお手本として踏襲されてるってことです。実際に政治を行うのは、天皇陛下によって正当性を与えられた政府だけど、実際の権限を持ってるのは政府の下にある官僚、官僚の中でも実際に権限を持ってるのは中堅、といったふうに。上を有名無実化して現場が動くのは、日本の得意技なんですよね。あ、外国でもそうかな?
日本に独裁者が出にくいのは、聖徳太子が始めた(?)こういう構造が、伝統的にいたるところに根を張っているからじゃないかな?とか。ある意味とことん民主主義的なんだな~と思って、私はこういう性質、けっこう好きなんですよね。それが同時に「上が責任を取らない」とか「情報が上に上がってこない」とか、引いては「国や政府を信頼できない」になるわけですが。
とりあえずよしりんの「主張したいことはとことん理想の上澄みを、批判したい時はとことん現実の裏側を」という恣意的な描き方は相変わらずヤだな~と。
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テーマ : ひとりごと - ジャンル : 日記

コメント

No title

こんにちは~~きょうも高度でなかなか頭に入ってこない私ですが、私もちろん天皇ラブです。もうほんとうに御公務を減らしてって思います。おじーちゃんも同じだったのですネ!!
よしりんは自分の顔も美化しているからな・・・。しかし彼の影響力は大きいと思います。私も上澄みにからめとられた輩かもなぁ・・・でも女系容認・脱原発とか、あんまり右翼っぽくないですね。あと私が最近あんまり読んでいないこともあるなあ・・

私も買ったなあ~ひいずる処の天子。でも会社の同僚にあげちゃったなあ~そんな深いメッセージなど全く読みとっておりませんでした!!

私が今読んだ奥田英朗の「サウスバウンド」という小説は、元過激派のオヤジを持つ小6の子が主人公ですが、これがまた私にはまってしまいました。あとで、市民運動家に共に戦おうと言われるんだけど、群れるのは嫌だということでくみしないで、自分の道を行くんですが、これが本物のサヨク(カタカナ?漢字?K&Uさんの定義ではどっちだったかな)では?と思いながら読みました。

もし機会あればぜひ。
K&Uさんとやりとりするようになったのと、この小説は、何か左翼嫌いの私から、こだわりを1つとくようになった気がしています。

Re: No title

こんにちは!コメントありがとうございます♪
そうなんですよ。うちの父と同じ手術だったので、勝手な親近感まで(^^;) あの思慮深さ、責任感e.t.c.素晴らしいですよね。ほんとにご無理しないで欲しいです。

よしりんの描き分けはすごいですよね~。顔を見ただけで敵か味方かわかるという(^^;)
影響力は大きいと思います。なので不安で、嫌いなのにずっと読んで彼の考え方をチェックしてしまうんですよね~。
というか元々ず~っとゴー宣読んでたんですけど、脱正義論で共感のピークに達して、その後一気に右傾化したのを「ええっ!?」と思って一気に嫌いになったんですけど、最近では「理念や目標は正反対なんだけど、各論は同意」な部分がどんどん増えてきてます。たぶん私が年取って保守化したのと、彼が1回転してまたサヨク方面に戻ってきつつあるのがバッティングしてるのかな~?Kさんが読まれたらまた違う感想になるかしら??

Kさんも「日出づる処の天子」読まれましたか!!あれで社会科の資料集に出てくる聖徳太子のイメージがかーなーり変わりませんでした?いつか大河ドラマでやってくれないかしらとずっと思ってます(^^;)

「サウスバウンド」amazon見たら面白そうですね♪ 福島とともに沖縄も好きなので、とっても興味を惹かれました。
お父さん、筋金入りの「左翼」って感じがしますが、「群れるのは嫌」って好感ですね。特に思想で繋がった群れって、ほんの少しの思想の違いで結束が弱まる→だから異論は排除っていうヤな感じになりがちだから。
私は「左翼」じゃなく、よしりん命名「薄甘い戦後民主主義サヨク」ですが、「一寸のサヨクにも五分の魂」があるとわかってもらえたら、こんなうれしいことは・・・でも最近、私自身が瓦礫問題とかでサヨクに失望多々だからなあ。。。この左翼なお父さんだったら、今の放射能や瓦礫問題に対してどう言うかな??
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