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バンド臨終図鑑

相変わらず80年代の懐メロに頭が半分漬かったままの今日この頃。
さらに漬かりたくて「バンド臨終図鑑」という本を読んでみました。

山田風太郎さんの「人間臨終図鑑」をお手本に、同様の図鑑を古今東西(というか'60~'09までに解散した欧米&日本)のバンドで編んでみました、という本。
クレイジーキャッツと制服向上委員会とEL&Pとカジャグーグーがまったく等価値で紹介されているのが、図鑑という形のいいところですね(しかしXの項は長すぎだと思う
ぶっちゃけ言えば、山風さんの「人間~」には、面白さ・引き込まれ度等はるかに及ばないという読後感でしたが、まあボリュームが違うし(山風さんすごいと改めて思います)、歴史的有名人の生死と、60年代以降のバンドの解散を比べたら、どうしても後者の方が質量ともに薄くなってしまうのは仕方ないですよね

この本で楽しかったのは、バンド名を聞いただけで懐かしさに浸れるところ。
じゃがたらとかルースターズとか、「ああ~~あったね~~~!!」と、まったく忘れてた人にばったり会ったような衝撃があちこちに
個人的に、60年代のバンド名は洋楽の方が馴染みが深く、80年代になると邦楽のバンド名の方が懐かしさ全開になるのも面白いなと。ま60年代の邦楽として紹介されてるのはGSばっかりなのに対し、60年代の洋楽はビッグネームが並んでるという時代のせいもあるでしょうが、私たち世代がその時代の洋楽を知ることができたのは、80年代に好きだった邦楽バンドの方々がリアルタイムで聞いてリスペクトしていたからなんですよね。
今の人たち、例えば80年代以降生まれの人たちにとってそれに当たるのは、私たち世代のバンドがリアルタイムで聞いた、例えばガンズやクイーンとかになるのだろうかと思うと、なんだか感慨深いです。

ワイドショー的な一口メモを楽しめるのも、この本ならではですね。
「知ってはいるけどそれほどファンじゃない」というバンドが大多数なので、こういう本で読まない限り知らなかったエピソードが多々、しかもファンじゃないとは言え基本「名前や顔は知っている」という人たちなので、そうしたエピソードが非常に興味深く
あの影山ヒロノブがなななんとラウドネスの一員だったなんて!(どおりで「チャーラヘッチャラ」とか、「なんか妙にいい歌だな」とか思ったもんです
フミヤが高杢に「タバコ買ってこいよ」とパシリに使われてたなんて!(解散にならないよう、フミヤは黙って言うとおりにしていたんだそう
野猿が解散した時に後追い自殺が出たなんて!(もしかしたら有名なニュースかもですが、私はまったく知らなかったです。命もったいなさすぎでしょう

一番興味深いのは、もちろんバンドが臨終(解散)に至る経緯ですが。
金銭関係、女性関係(は、本を読んだ限りではあんまり主力ではなかったかな)、音楽性の違い、等々ひっくるめて、当たり前のことながら「人間関係」がやっぱりダメになっちゃうんですね。
もともと違いとか、相容れない部分を内包している個人同士が、濃い非日常を日常的に共有する。薄い日常の中ならあまり問題にならない違いも、濃い非日常ではその分増幅される。「戦争は日常と地続き。日常での問題点が、非日常だとさらに大きくなるだけ」とは、沖縄戦の研究者の言葉ですが、バンド臨終にも、ひいてはどんな組織にも当てはまることなのかなあと。
この本は基本、当事者に直接インタビューとかじゃなく、「人間臨終図鑑」と同様、様々な文献からエピソードを持ってきて再構成しているので、読んでてかゆいところに手が届かない感があるのも否めません。けど、インタビューが「真実」とは限りませんし(「嘘ついてるに決まってる」って意味ではなく)、当事者の本音がわからないおかげで、浮かび上がるものもあるというか。

図で言い換えれば「技術も視点もバラバラな人たちが集まる」→「バラバラな点から、ある共通の1点へそれぞれ線が引かれ、そこで推進力がアップする=バンドにとって最良の時期」→「1点に到達した後も線をそのまま延ばしていくと・・・」ってなことになるのかなと(1点に到達した時点で解散したBOφWYやレベッカなんかは、もろこのパターン)。とすると解散はもう物理的に当然の現象って感じも。「連載終了を逃した長編マンガ」なんかにも同じことが言えそうですが

また、この線を描く速度が、1本だけやたら飛びぬけて速かったり、遅かったり、あるいは同じ点を目指していると思ってたけど、点に近づいてみたらどうも横に何ミリかズレてた、とかの「違い」があまりにも顕著になったら、その線=人はもう脱退するしかない。そして往々に、その人が脱退したら、そこでもうそのバンドはオシマイ・・・てのもよくあることで。
このパターンが(私が読んだ印象では)、ニルヴァーナ、オフコース、筋肉少女帯、黒夢、米米、その他多数。
「モチベーションの差」「音楽性の違い」「金銭問題」・・・色々あるけど、基本はやっぱり「ぴったり噛み合ってたはずの歯車にきしみが」というか、まあそのきしみをもたらしたのがそういう「金銭関係」とか「モチベーション」とかなんでしょうけど。

そういう意味でひときわ印象的だったのが、かつて「精神的な双子」とまでカヒミ・カリイに言わしめたにも関わらず、解散後に外野が無責任に煽ったことでヒビ割れが大きくなってしまったフリッパーズ・ギター(うわあ懐かしい名前だパーフリ。あんま好きじゃなかったけど、この本読んだらちょっと同情しました)と、オフコース(これまたそんなに好きじゃなかったけど)。

「「さよなら」は小田が書いた曲であって俺のヒットじゃない」と鈴木に言われた小田は「おいちょっと待てよ。「さよなら」はオフコースのヒットだろう」と思ったという。この考えのズレが鈴木のジレンマの元だった。知らないうちに高校時代からの盟友を傷つけていたと知った小田は悔やんだが、結局、鈴木は(略)脱退。この出来事は小田に(略)ショックを与え、残ったメンバーでオフコースを続ける決断をするまでに1年以上の時間を要した。(p.071)

こういう「ズレ」は、先にも書いたとおり、濃厚な空間を共有しているからよけい濃厚になりやすいわけで、それはほとぼりが冷めると、ほっとんどのバンドが再結成していることからも伺えます。
もっともこの再結成もなんだか中途半端で、続けて読むと「なんだいどいつもこいつも潔くないなあ」と思ってしまうのは否めませんが、まあそれだけ、濃い人間関係を維持するのは大変なんだなあと。

「メンバー同志ではケンカしないんですか?」
との質問に
「ケンカはしないです。・・・ガマンガマンの連続で(笑)」
と答えたのは、結成以来一度もメンバーチェンジすることなく、来年25周年を迎えるBUCK-TICKのあっちゃんですが、この本を読んだ後だと、改めてこの返答のリアルな重さを実感。
バクチクが徳川家康に見えた1冊でした
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テーマ : 音楽的ひとりごと - ジャンル : 音楽

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